まるほログ

映画やボドゲや地域情報などを気ままに。上田市鹿教湯温泉に住む元地域おこし協力隊のブログです。

「上田に丸子に芸術の秋に! アキレンジャー! 芸術のピンク!(決してピンクな芸術ではない)」

芸術の秋」ですか……。

考えてみると、これまたざっくりしてますねー。

そもそも、何が芸術で何がそうでないのかという敷居がわかりません。

 

例えば、カテゴリー上「音楽」は芸術の分野に入ります。

その音楽に関しても「歌唱」から「演奏」「作詞」「作曲」。

そこに演劇の要素が入ってくれば「オペラ」。

「ダンス」が入れば、アイドルなどが行う「パフォーマンス」という、更に抽象的な表現になってきます。

 

また「ダンス」や「吹奏楽」なんかは、生半可なスポーツよりもよっぽど肉体労働者向けです。「体操」や「フィギュアスケート」なんかスポーツなのに評価されるのは芸術点です。

 

僕も昔は演劇なんかやっていて、練習も本番も熱いライトの下、汗もダクダクになりながら演技していたものです。世の中にはマラソンを舞台にした、本番中ずーっと走りっぱなしの演劇なんかもあったりします。

 

とはいえ、これらはカテゴリーとして芸術に分けられているので、まだ納得できる範囲です。

ここから更に分からなくなってくるのは、「個人の価値観」という部分。

 

まずこの写真を見て下さい。

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by:alan(ator)

 

工場です。

しかもボロボロの、ハリウッドとかでスパイダーマンが敵と殴り合いしてそうな廃工場です。

この画像から読み取れるのは本来ならそれだけ。

しかし、結構な人がこのなんでもない工場に芸術を感じるのです。

 

「重厚なシルエットが悪の秘密基地みたい!」

「ぶっといパイプが男の浪漫を~」

「特厚映画のセットみたいで素敵!」

 

まあこんな意見が結構見られます。これが写真を眺めるだけならば、写真という「絵」を楽しむという考え方で決着がつくのですが、これをわざわざ見に行く人達もいます。

世の中には確かに「廃墟マニア」という方がいて、そういった場所に行くことを楽しんでいる方がいるのです。(僕も気持ちはよく分かる)

 

なるほど。「芸術的な風景」というのも立派な芸術を楽しむことになるのですね。

行楽と併せて行えるので、一石二鳥なわけです。

 

ならば、より難易度を上げて、

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出典blog.livedoor.jp

この写真なんかどうですか?

先程の工場の写真に比べると、何処にでもありそうな風景でぜんぜん芸術的とは思えません。少なくとも観光地に行ったなら、わざわざ写真を撮ろうとか思いません。

そう、ここが普通の階段だったら……。

 

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若い世代の方は、だいたいお察し頂いたかもしれませんね。

そう、ここは昨年大ヒットしたアニメ映画「君の名は」に出てくる場所のモデルとなった場所なんです。

なんとたったそれだけの理由で、去年この場所にはファンが押し寄せ、多くの写真が撮られたそうです。

いわゆる「聖地巡礼」という観光スタイルです。

近年の、インスタグラムやTwitterをはじめとしたSNSの普及の影響で、旅行の目的も大きく変わり、「観光名所の写真を撮る」というより「話題性のある写真を撮り発信する」というのも立派な楽しみ方になっているのですね。

観光振興を生業とする身には、非常に参考になる実証です。

 

ちなみに、上田市も「サマーウォーズ」や「真田丸」を始めとした多くの映画やドラマの聖地です。

 

こういった風に、今では個人が簡単に情報を発信できる時代になりました。

つまりこれは誰でも表現者になれる、「作品」を作り出しているということになります。

Youtuberなんかはいい例ですね。なにせゲームを実況したり商品を紹介するだけで、動画という「作品」を仕上げているんですから。

 

そして、それらを評価する人がいることでその「作品」は「芸術」になりえるのです。

 

 

芸術の秋

さて長々と芸術論を語ってしまいましたが、肝心の、丸子・鹿教湯でどのように芸術の秋を楽しむことができるかについて紹介しましょう。

 

上の論法を用いて言えば、「芸術」の楽しみ方なんて人それぞれなんだから、紹介しようにもしきれません。

『山』ひとつを紹介すれば、

それが「登山を楽しむ山」なのか、

「絵に描いて楽しむ山」なのか、

「きのこが採れる山」なのか、

「有名な合戦が行われた山」なのか、

それぞれの価値観によって芸術かどうかすら変わってしまいますからね。

 

そのため今回紹介するのは、

あくまで僕個人が芸術を楽しめると感じたモノ、場所

に限定します。

こうも長々と説明してきたのは、ここのクレームを避けるためだったのです。

言い訳、命乞い、捨て台詞には労力を惜しまないのが僕なのです。

嘘さえつかなきゃイイんです。

 

鹿教湯温泉

五台橋~文殊

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このブログでは何度も紹介していますが、秋の五台橋~文殊堂は見事な風景です。

紅葉という風景を楽しむというのは秋の醍醐味。

この風景を「写真で撮るか」「絵を描くか」これは自由。

もし絵を描くのが苦手という方は、鹿教湯の交流センターに『観光名所の塗り絵』があるので気軽に楽しめますよ。

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(色鉛筆もあるので用意は何も無しでOK)

 

文殊堂 天井絵

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以前も紹介しましたが、文殊堂の天井に描かれた首なしの龍はなかなかの迫力です。

紅葉に包まれた境内を眺めた後は、お祈りがてら文殊堂自体を見学するのも魅力でしょう。

 

なぜ龍に首がないのかは、下記のブログをご参照下さい。

marukokanko.hatenablog.com

 

公衆トイレ

公衆トイレが芸術?

うむ、訳わかりませんね。

別に鹿教湯温泉の公衆トイレにピカソ張りの彩色が施されているとか、安藤忠雄が設計したとかそんな謂れはありません。

ただ、ワンポイント。ちょっと変わった面白ポイントがあります。

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トイレのマークが、鹿仕様に……!

なんとこれだけ。わざわざ紹介するまでもないじゃん、と思いますよね。

僕もそう思います。

しかし、わざわざ紹介しないと誰も見てくれないんですー。

まあ、でも地域のオリジナル感があってちょっと珍しいものっていうのは事実でしょ。

 

太鼓 鼓城

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鹿教湯で音楽といえば、一番最初に思いつくのが鼓城の太鼓演奏です。

木曽義仲の挙兵太鼓という地域に根付いた迫力のある演奏が魅力。

鹿教湯だけでなく近隣のイベントやチャリティーコンサートなど県内県外様々なところでの活動実績があります。

また、鹿教湯温泉では太鼓の合宿が盛んであり、日中には、わりと太鼓の音が町中に響いていてることがあります。

普段は周りに気を使って演奏できない方がには、鹿教湯温泉でめいいっぱい演奏してほしいですね!

www.kojyou.org

 

お土産に

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交流センターにて絵葉書が販売されています。

観光名所を抑え、季節の風景を楽しめます。

手軽に思い出を形に残せるので、お土産には最適です。

 

丸子近辺

信州国際音楽村

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丸子で、こと音楽に関して言えば「信州国際音楽村」を紹介しないわけにはいかないでしょう。

 

信州国際音楽村は、丸子の中心街と上田駅のちょうど中間くらいにある小高い丘の上にあり、起伏のある山道を進んでいったところに広がっている公園です。

国際とついてはいますが、別に外国人観光客が往来してるわけでも、在住しているわけではありません。

丘の上から見下ろす、上田からその近隣の町なみの大パノラマは見事なものですが、それを背景にして、コンサートなどに使われる屋外ホールがどっしりと鎮座しています。

こんな見晴らしのいい所で、演奏なり演劇なりを行う、または見ることができるのはかなり珍しいでしょう。

また、音響に関して言えば、そのすぐ横にある屋内ホール「ホールこだま」が、全木造建築という大変音響効果に優れた施設として、著名な芸術家にも評価されています。

 

定期的にイベントが開催されますので、公式サイトから情報をチェックしましょう!

www.ongakumura.jp

 

また、公園内では春から夏にかけて、花祭りが行われており、秋にも気分の良い季節の花が咲いています。イベントがないときにも、気軽に散歩を楽しめる居心地の良い場所です。

ついでではありますが、食事をするなら、すぐ近くにある「花風里」というお店がオススメ。

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丸子文化会館(セレスホール)

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いわゆる、ちょっと大きな街にあったりする、大人数を収容できるホールを持った「文化会館」。もちろん公共の施設ですので、一見すると地味ですが、真田丸イヤーと呼ばれる昨年は芸能人が訪れることもあったり、ポケモンGOポケストップにもなったりと、非常に盛り上がりました。

また、ホールだけでなく庭には芸術的な(前衛的な、言い換えれば訳のわからん)モニュメントが立ち並び、視覚的に訪れた人を楽しませます。

地域でのイベントも多く行われているので、観光地としては微妙かもしれませんが、劇場好きの方には一見の価値あり、かもしれませんね。

 

丸子郷土博物館

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公共的な施設が、どうしても事務的で地味に感じてしまうのは仕方のないことです。

特にそれが地域の歴史を展示した「郷土博物館」ともなれば、その地味さは一気に加速します。

そんな例にもれず、丸子と鹿教湯の間に挟まれひっそりとそびえ立つのが、「丸子郷土博物館」。

展示内容は、丸子近隣で出土された土器や遺物と、丸子町の産業であった近代器械製糸の歴史について。

聞くだけで、なんとも地味なラインナップだなぁと思わないでもないですが、実際に行ってみると、意外にもここ面白いんです。

もともと僕が歴史好きなのもありますが、教科書で見たような保存状態の良い土器や遺物は非常に興味を惹かれますし、建物自体がモダンな近代的建築で、ちょっと独特の空気感があります。

埴輪のデザインって、時々ギーガーみたいなやつありますよね。(※1)

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白黒にすると、何だかラスボスが住んでそうな屋敷に。

結構、写真映えするのが意外です。

ちょっとお化け屋敷みたいですけどね。

歴史好きや、ちょっと変わった景色が撮りたいという方には、地味にオススメです。

あとHPが結構おしゃれです。

museum.umic.jp

 

その他

田んぼ群

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田舎ならばどこにでもある景色。

しかし、太陽にさらされて金色に輝く稲穂郡はやはり秋の風物詩であり、とてつもなく壮観です。

丸子だからという場所ではありませんが、上田市では多くの田畑があるので、ドライブ中などに見かけたら写真を取りたくなるような景色がきっと見つかりますよ!

 

上田周辺 サントミューゼ

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今までにいくつか劇場を紹介してきましたが、その中でも最も大きく、最も施設が整った劇場が、このサントミューゼです。

上田駅から徒歩10分程度。

中庭のある馬の蹄鉄のような形の回廊に、美術館と大ホール・小ホールが宇宙ステーションのようにドッキングしています。中庭側には出島のような小さなスタジオがいくつかくっついて、非常に採光に優れた建築です。

New Project : Virtual tour generated by Panotour (大ホールパノラマビュー)

フロアガイド | サントミューゼ

 

上田で行われる大規模な演劇、美術品の展示は、ほとんどこのサントミューゼで行われます。近くにはアリオという商業施設もあり、上田においてはあらゆる点で万能な劇場と言えます。(その分維持コストも馬鹿にはならんのでしょうが)

 

気持ちのよい中庭に、光の入ってくる吹き抜けのある回廊は、たとえ演劇や美術品を見なくても十分楽しめます。

上田に来たら、是非一度は見てほしい劇場ですね!

 

サントミューゼ (公式HP)

 

上田周辺 上田映劇

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今度は上田市老舗の映画館。

実は最近まで活動を休止していて、つい最近再び銀幕を開くこととなりました。

写真の通り、大規模な映画施設ではなく、アングラなイメージを漂わせる雰囲気があります。(なんか山本晋也監督の作品とか映しそう)(※2)

しかし、それは全く欠点ではなく、むしろこういった場所で見る映画というのは非常に興奮するのです!

施設だけでも、レトロな良さがありますので、ちょっと見ていくだけでもいい、コスパの良い観光地だと思います。

 

上田映劇-トップページ

 

上田周辺 犀の角

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以前ブログでも紹介いたしましたが、上田駅近くの商店街にできた小劇場です。

演劇と言えば、今まで紹介したような大きな劇場で「おおロミオ!!」と大げさに、大声量でやるというイメージを持った人もいるかもしれません。

しかし現在の演劇の大半は、こういった小劇場が主流であり、このような施設のおかげで小さな劇団やパフォーマーが芝居をすることができるのです。

上田は映画の街のイメージですが、結構演劇にも力を入れていたりするんですよね。

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ここは、平時にはカフェとバーを開いており、またゲストハウスも併設しています。

小劇場特有のワクワクする感覚が体験できる、非常に興味深い劇場です。

 

公式HP

sainotsuno.org

 

以前の記事

marukokanko.hatenablog.com

 

上田全域 映画ロケ地

最初の方で紹介しましたが、上田は数多くの映画のロケ地として有名です。

はっきり言ってあまりに量が多く、全て紹介するには喋りたがりの映画評論家をダース単位で用意しなければ間に合いませんので割愛します。

ですが、せっかくなので冒頭で紹介した「サマーウォーズ」のロケ地MAPと、ロケ地となった映画が分かる上田市フィルムコミッションのリンクだけ貼っつけておきますね。

まあ、すでに季節はオータムなんですけど。

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公式サイト

www.ueda-cb.gr.jp

 

 

さて、今回はやたらと長くなってしまいました。

まあ仕方ないんですよ。

上田には数多くの歴史がありますし、映画を始めとした芸術的文化が雨粒を数えるようにあるんですから。

それに僕自身がこの分野に大変な興味があって、語りたくなってしまうというのも理由の一つですかね。

とにかく、文化・芸術、これらの魅力が様々なジャンルで所狭しとひしめき合うこの上田市、そして丸子。

「芸事」に生きている人には、ぜひ一度は訪れてほしいところだと思いますし、そうでない方でも自分の好きなものを選んで芸術を楽しめる街だと思います。

 

まあ「芸術の秋」に限った話でなく、一年中なんですけどね。(苦笑)

 

 

 

※1 ギーガー

みんなのトラウマ映画「エイリアン」のデザイナー、H・R・ギーガーのこと。

超高レベルな変態センスで、一般人には到底真似ることなどできない。(子供は調べちゃ駄目よ)

最近ドキュメンタリー映画が公開された。

芸術は人それぞれだけど、これを「美しい」ととるか、「かっこいい」ととるか、「気持ち悪い」ととるか、もしくは全てひっくるめて評価するか、意見の分かれるところ。

 

※2 山本晋也監督

健全な男子諸君の夜のお友達でチョビ髭サングラスの愉快なおっさん。

「すごいですねぇ」が口癖の映画監督。(子供は見ちゃ駄目よ)

暴れん坊将軍に時代設定ガン無視して、サングラスをかけて登場したりやりたい放題。

山田洋二監督と間違えてはいけない。

 

 

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