アートとはなんぞ? 芸術の秋 美ヶ原高原美術館へ行こう!
芸術(アート)とはいかなるものか?
演劇を学んでいた学生時代の頃から、いつまでたっても答えの出ない問題であります。
この夏、愛知で開催された「表現の不自由展」が3日で中止となったのは記憶に新しいですが、これもまた芸術のあり方を考えさせられました。
これとよく似たできごとがあります。
1917年マルセル・デュシャンの「泉」という作品が引き起こした騒動です。
マルセル・デュシャンという美術家がとある展示会に「泉」という作品を出展しようとしたのですが、なんとこの「泉」、見た目は完全にただの男性用便器。
その展示会は出品料を払えばだれでも出品でき、おまけに無審査なのでどんな作品でも展示できるはずだったのですが「泉」は例外的に出品を拒否されてしまいました。
そんな問題作の「泉」ですが、
今では17個のレプリカが作られ、
「芸術の概念や制度自体を問い直す作品」と称され、
現代アートの出発点、20世紀を代表する作品として扱われています。
「泉」の場合は価値があると見いだされたから良かったわけですが、
「表現の不自由展」の論争と作品の価値については今後のまわりの評価次第です。
ただし、
「表現の自由とは人それぞれ」
「他人に認められなくてもいい。自分が芸術と思えばそれは作品なのだ」
「つまり、誰かが傷つこうが芸術ならば認められるべきである」
誰かがこんな発言をしたわけではありませんが、
こんな風に理屈だけの表現の自由を振りかざし始めると、こんな過激なことがまかり通るようになるわけです。
私も一国民である以上、それなりの政治意識は持っておりますが、このブログでそれを公表することはしません。
内容がそぐわないのもありますが、
それを見て、傷つく人がいるならば嫌だな、と思うわけです。
芸術とはいかなるものか?
私の答えはまだまだ出せません。
上田の芸術といえば
徐々に長野にも秋の天気が舞い降りてきました。
秋といえば、芸術の秋。
涼しく気持ちのいい秋は、芸術的思考も高ぶって、カンバスにパレットも絵の具がはかどるとのこと。
さらに秋は絶賛行楽シーズン。
色とりどりの食べ物に加え、紅葉彩る秋の山は、まさに天然の芸術といえるでしょう。
山の自然を楽しみがてら、アートに触れて心を豊かにする。
今回はそんな楽しみ方ができる、美ヶ原高原美術館の紹介です。
◆美ヶ原
ライダーの憧れ「美ヶ原高原」は松本市、上田市、長和町にまたがる、日本で最も美しいといわれる高原です。
ビーナスラインや紅葉を始めとした自然観光ではおなじみの場所であり、
長野県が誇る観光名所であります。
富士山における静岡と山梨程ではありませんが、
上にあげた三つの自治体が所有権をもっているため、どの自治体も観光資源として大々的に売り出しています。
美ヶ原高原美術館はそんな上田市の武石という地域にある美術館。
地域にあるといっても、標高は2000m。
ふもとの武石自治センターが654mですから、そう気軽に行ける場所でもありません。
1981年に箱根の「彫刻の森美術館」の姉妹館として開館した野外彫刻美術館であり、
4万坪の高原に彫刻やアート作品が合計350点も展示されています。
日本一高い場所にある道の駅である「道の駅美ヶ原高原」を併設しており、
ビーナスラインや霧ヶ峰などからくるライダーや観光客の休憩所としてもちょうどいいので、平日でもお客さんの入りはそこそこあります。
◆場所
住所:上田市武石上本入2085
上田駅からだと、普通乗用車で大体1時間くらいでしょうか。
山の上なので道中はくねくねした道を上ることになります。
実は松本駅、上諏訪駅、上田駅という主要観光地にそれぞれにちょうど1時間で行けるという好立地であり、旅行のプランも立てやすく観光客にとってありがたい場所であるといえます。
(あれ? どっかで同じことを聞いた気が?)
実は昔、私の住む鹿教湯温泉からも松本側に進んでいった場所に、美ヶ原へ抜ける道があったそうです。
現在でも一応存在しているのですが、管理されていないこともあり、立ち入りは自己判断となっています。
正直利用してもそこまで得になることもないので、興味があったら調べてみるといいかもしれませんね。
◆展示物
肝心の展示物ですが、
さすが現代アートだけあって、荒唐無稽かつ理不尽で意味不明さが入り混じった作品たちであり、そのインパクトは圧巻。
中にはぶっちゃけ「何これ?宇宙人が作ったの?」と言われかねないような謎のオブジェがあります。
(うーん、なんか見ていると不安になってくる)
(イラレ習いたてのスタンプみたい……)
(城の中にはヴィーナスがいっぱい)
それでも開けた高原に鎮座する巨大な作品群は、何となく眺めるだけでも面白いですし、いろいろな想像が膨らんできます。
また館内では季節の花が咲きみだれ、美ヶ原高原全体で約200種類の高山植物が咲き、アート作品と見事な調和を見せています。
◆実際に行ってみて
大自然の中にある奇妙な彫刻群。
ミスマッチかなと思う組み合わせですが、不思議なもので、それぞれの作品が生き生きと個性を発しており、いろんな作品を眺め歩いても飽きが来ませんでした。
白い服にワインを一滴たらせばそこが目立ってしまうように、
一つ一つの作品を際立たせるには、高原という場所は適しているのかもしれません。
個人的には、作品から何かメッセージを感じ取るというより、単純に見て歩いていて楽しいタイプの作品が多いかなと思いました。
作品の良し悪しは人それぞれだと思うのですが、
巨大な幾何学的なオブジェから、人間サイズの彫像まで種類がさまざまなので、
深く考えず作品を眺めることができます。
作者の名前も美術について知識がないと知らない人じゃないと分かりませんでしょうから、変な先入観もないですしね。
また、移動のしやすさも魅力です。
室内の美術館では、美術品を配置する関係上どうしても動線が狭くなってしまいます。
そのため混雑すれば、流れに飲まれて見たい作品を飛ばしてしまうこともしばしば。
こちらの美術館は、高原を展示場にしていることもあり、自由に練り歩くことができるため、より多くの作品を好きなだけ鑑賞することができます。
もちろん屋外なので、室内ほど声の大きさを気にする必要もありません。
美術館とありますが、家族連れや団体が回りやすく、その作品についてワイワイ持論を語り合える、
ハイキングのようなめぐり方ができます。
私は行ったときは8月の11日、まさにお盆休み。しかも12時という食事時だったため、駐車場はかなり混み合いました。
しかし、美術館の方は観光客がかなり入っているはずなのに、
スムーズに巡ることができたので、美術館の中で人混みにイライラすることはないでしょう。
なお注意なのですが、350種類のアート作品と合わせて、高原にあるということもあり、館内を回るには、けっこう体力を使います。
また標高2000mの高さのため、夏でも非常に涼しく、11月ごろは極寒の寒さとなるそうです。
着ていく服や靴は事前に気をつけておいたほうがいいですね。
さて、久しぶりに上田市の話題を扱うことにしました。
こうやって広域の情報を扱えるようになったのは、書く側としては嬉しい限りです。
秋は芸術の季節。
上田の自然にビビッときて、もしかすると後世に名が残るような素晴らしい作品が生まれるかもしれません。
絵や音楽、陶芸だとか文章など。
普段作ったことのない人でも、秋の居心地の良さに気まぐれに芸術を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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